日別アーカイブ: 2014-11-13

鳥獣戯画展に行ってきた

前から目をつけていた(?)京都国立博物館「国宝鳥獣戯画と高山寺」展に行ってきました。

「蛙がヤーッ!と兎を投げ飛ばす絵」を「見たことないです。」と言う人は皆無だと思います。

鳥獣戯画(ホントは「鳥獣人物戯画」だとか)は、高山寺の明恵上人と言う人が描いた墨絵の絵巻物。日本最古?世界最古?のマンガ(確かに、長谷川町子さんのマンガとテイストが似てる。長谷川氏が影響を受けたのかも。)と言われており、現代の私たちが見ても非常にポップでファンキー、親しみやすく微笑ましいからか、いろいろなところでこの絵に出会います。(私のところでさえ「蛙と兎の相撲」徳利、盃があります。)

あいにく高山寺には行ったことないのですが、高山寺のお隣の神護寺では4枚100円のかわらけを千円分買い求め、40枚を谷に向かってブンブンと投げたものです。若い時は今にも増してアホだったみたいです。

閑話休題。この度、朝日新聞文化財団の助成による修理が完成したことを記念して、甲巻から丁巻までの4巻全てが公開されました。(ただし会期中に作品の入替があって1回で見られるのは2巻ずつ。)

あわせて、明恵上人にまつわる資料や、高山寺が所有する名宝の数々を展示、と言うことでしたが、正直こちらには全く興味ありませんでした。

とは言え、明恵上人の詠んだ「アカアカヤ アカアカアカヤ アカアカヤ アカアカアカヤ アカアカノ月」を見ると、(うろ覚えなので一部間違いがあるかも。)このお坊さんはとってもお茶目な人で、坊主アレルギーの私から見ても愛すべき人だったんだろうなあ、いっぺんお会いしたかった!と思います。また、夜中でも照明煌々の今とは違い、闇夜を照らす月の明るさも尋常ではなかったんでしょうね。滑稽味を感じると同時に、このお坊さんの自然に対する畏怖の念を感じます。

案の状、展覧会はツタンカーメンのマスク展の時の様な大行列で1回目は「外で90分、中で50分待ち」と言う凄まじいものでしたから、あきらめてお向かいの三十三間堂でお茶を濁して帰ってきました。

で、次週雪辱を晴らす(オーバー)つもりで朝7時台特急に乗り、再挑戦。

それでもやはり長時間並んで、ようやく絵巻物を見ることが出来ました。

しかし上野動物園のパンダ、造幣局の桜と同じく、わたくしども一般人民には立ち止まって見ることは許されません。ヨコ歩きしながらの鑑賞です。延々と待った割には本ちゃんに触れる時間がおそろしく短く、まるで病院の診察の様でしたが、診察とは異なりこんな場合は「ワクワクして待ってる時間(思いもうけて、と言うやつか)」も「鑑賞の時間」に入るのでしょう。案外、その時間(ワクワクタイム)こそが心の栄養になるのかも知れません。

それにしても修復技術ってすごい。まるで昨日描かれたみたいな美しさでした。

鳥獣戯画の深いところまでを見抜く力は私にはありませんが、「私(明恵さん 注※アキエさんではなくミョウエさん)は!これで!これを!このことを!強く訴えたい!」と言うのではなく、肩の力を抜いて自らも楽しみながらサラサラサラリと描かれたんだろうなあ、と思いました。いつ見ても和む絵です。

201411鳥獣戯画3

201411鳥獣戯画徳利201411鳥獣戯画1 201411鳥獣戯画2

小うるさく押されている「高山寺」印を見て、何だか美容室の雑誌(「○○美容室」と表紙に大書)みたい、と思ったのですが、その昔、絵巻物の一部を抜かれて盗まれたことがわかり、予防のために契印を押すことになったのだそうです。

相撲の絵もお馴染みの「投げ飛ばす豪快なシーン」だけではなく「耳を咬んでる陰湿な奴」もおり、ところどころで笑わせてもらいました。