「環境省が「繁殖制限」「飼養施設規制」導入へ」と言う記事に刺激されて10年前に書いたパブコメを引っ張り出してきました。すごい頑張ってるやん!10年前の私!
しかしまだ検討段階とのこと。業者に骨抜きにされませんように。
環境省自然環境局総務課動物愛護管理室御中
氏名:川上 恵
「動物取扱業に関する基準等」
「動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置要領」
「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の改定」
「展示動物の飼養及び保管に関する基準の改定」
「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置要領の改定」
につき、意見を提出いたします。
〈政省令等の名称〉動物取扱業に関する基準等
<該当個所>
第1 登録の拒否基準
1 動物の健康及び安全の保持その他動物の適正な取扱い関係
<修正文>
(5)「業の廃止等により飼養不可能となった場合の生存方法に具体的対処方法
があること。」を追加する。
<理由>
ペットショップやブリーダーの倒産にともない、多くの動物が突然に行き場を失う、と言うケースが数多く発生しています。経済状況が悪化していない時にこそ、廃業等で飼養不可能になった際の措置について対応策を準備しておくことが妥当だと思います。「第2 登録の遵守基準 3動物の管理(9)の2」に廃業に関
する規定がありますが、廃業の時点では相当に経済状況が悪化していることは大いにあり得るので、その時に生存策を練ることは困難だと思います。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
1 飼養施設の規模、構造等
(8)「飼養施設は、突起物、穴、くぼみ、斜面等によって、飼養する動物が傷害等を受けるおそれがないような安全な構造及び材質であること。」
<修正文>
(8)「飼養施設は、突起物、穴、くぼみ、斜面等によって、飼養する動物の足場が不安定にならず、当該動物が傷害等を受けるおそれがないような安全な構造及び材質であること。」
<理由>
街中のペットショップで多く見かけるケージの底面は金属製のバーがわたしてあります。このようなケージは、バーとバーの隙間から糞尿が下に落ちるため、管理は楽になりますが、入れられている動物にすれば足場が不安定となり、苦痛と疲労がかなり大きいと思いますので、使用を禁止すべきだと思います。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
1 飼養施設の規模、構造等
<修正文>
(12)「動物に過度のストレスがかからないよう、照明や音響には十分に配慮することとする。また、動物の休息を乱し健康を損なうことに繋がりかねないような長時間の営業及び深夜営業は行わないこととする」を追加する。
<理由>
主に繁華街では深夜まで煌々と電気をつけ、客寄せに大音響を流して営業している店舗が多く見られます。これらの行為が動物に過度のストレスを与えているのは一目瞭然ですので、規制する条文が必要であると考えました、
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
3 動物の管理
(2)飼養施設における飼養又は保管は、次に揚げる方法により行うこと。
の6
<修正文>
6の「必要に応じて」を削除する
<理由>
長時間の連続展示と言う前提がある以上、動物のストレス軽減のために、「展示を行わない時間」は不可欠であると判断しました。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
3 動物の管理
(2)飼養施設における飼養又は保管は、次に揚げる方法により行うこと。
の7
<修正文>
7の「必要に応じて」を削除する。
<理由>
「運動が困難な個別保管施設」と言う前提がある以上、動物のストレス軽減のために、「運動の時間を設けること」は不可欠であると判断しました。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
3 動物の管理
(2)飼養施設における飼養又は保管は、次に揚げる方法により行うこと。
の8
<修正文>
8の「適切な期間」を「少なくとも12週齢まで」に代える。
<理由>
ペットショップでは4週齢程度の動物が多く見受けられます。幼いほどよく売れると言う現実がある以上、営利を追求する業者側が自ら「適切な期間とはどのぐらいであるのか」を熟慮検討する可能性は低いと思います。一方、少なくとも12週齢までは親兄弟と共に飼養されていないと社会性が欠落し、その後の問題行動に繋がるとのデータがありますので、後々の不安材料を避けるためにも、具体的な数値基準を設定することが好ましいと考えました。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
3 動物の管理
(2)飼養施設における飼養又は保管は、次に揚げる方法により行うこと。
の13
<修正文>
13の末尾に「また、殴打等による体罰は一切行わないこととする。」を追加する。
<理由>
訓練の現場では殴打は当たり前のようになされていますので、条文に具体的に謡う必要があると考えました。殴打は訓練者の裁量の範囲を超えたもの(虐待)であると判断しました。
<該当個所>
第2 登録の遵守基準
3 動物の管理
(5)動物の繁殖は、次に揚げる方法により行うこと。
の2
<修正文>
「みだりに繁殖させることにより母体に過度の負担がかかることを避け、その繁殖の回数は、年一回を超えないこととすること。」に代える。
<理由>
営利事業として行う以上、現実にはどうしても過剰な繁殖に走ってしまい、結果的に動物に過度の負担を強いてしまうケースも多々あると思いますので、具体的な数値基準を定める方が良いと考えました。
<該当個所>
第3 標識の掲示
(1) 次に掲げる事項を記載した標識を、事業所における顧客の出入り口から
見やすい位置の壁面に掲示する。
<修正文>
「危険動物取扱いの有無」を追加する。
<理由>
大型の野生動物や有毒動物を飼養する店舗の場合は、それらの飼養の有無を掲示することが適切であると思います。万が一逸走した場合等を想定すると、危険な動物の存在を近隣住民や顧客にあらかじめ周知させる義務があるのでは、と考えました。
〈政省令等の名称〉動物が自己の所有に係るものであることを明らかに
するための措置要領
<該当個所>
第4 動物の健康及び安全の保持
「識別器具の装着に当たっては、」(略)
<修正文>
「できるだけ獣医師等の専門家の」の「できるだけ」を削除する。
<理由>
外科的な措置であると言うことは、動物の精神的肉体的負担が大きく、ある程度の危険も発生すると思いますので、熟練した専門家によってなされる方が適切であると判断しました。
〈政省令等の名称〉家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の改定
<該当個所>
第4 共通基準
1 健康及び安全の保持
(略・・・)また、傷病のみだりな放置は、動物の虐待をまねきかねないことについて十分認識すること、・・・
<修正文>「動物の虐待をまねきかねないことについて」を「動物の虐待に等しいことと」に修正する。
<理由>傷病動物のみだりな放置は虐待以外の何物でもなく、「まねきかねない」などと言うゆるい定義は不適切だと考えました。
<該当個所>
第4 共通基準
5 繁殖制限
「自らの責任において可能である場合を除き」
<修正文>
該当個所を削除し、代わりに「自らの責任において可能であることにつき、前もって確実な判断ができない場合は」とする。
<理由>
ねこの場合は処分対象の大部分が子猫であり、屋外でも繁殖していますが、家庭においても適正な繁殖制限がなされていないことが原因であると考えます。「生まれてから考えよう」「何とかなる」の見込み発車で繁殖させてしまい、結果譲渡先が見つからずに保健所に持ち込むケースが現実には多々ありますので、この
条文において飼い主の責任を強調し、漫然と繁殖させることを防止する必要があると考えました。
<該当個所>
第4 共通基準
5 繁殖制限
<修正文>
「なお、この場合の譲渡は対価を伴わないものであること」または「なお、この場合の譲渡は無償であること」を追加する。
<理由>
「無償」と言うニュアンスを入れておかないと、ベランダブリーダーによる放埓な自家繁殖を奨励するかのように受けとめられるおそれがあると思います。無知なベランダブリーダーによって遺伝病が蔓延し、動物の人口過剰が起こり、悪臭や鳴き声等が近隣の住環境を損なうためトラブルが起こっていることは規定の事
実です。
<該当個所>
第4 共通基準
9 危害防止
<修正文>
以下の分を追加する。
「都道府県知事等は、『人に危害を加えるおそれが高いと認められる家庭動物等』の所有者、飼養場所、飼養施設等の情報を管理し、その請求に応じて何人にも開示しなければならない。」
<理由>
一般的市民感情として、危険なおそれのある動物がどこにおり、どのように管理されているかを把握しておきたいですし、また、把握すべきと考えます。子供や老人等の弱者が家族にいる場合はなおさらではないでしょうか。
<該当個所>
第5 犬の飼養及び保管に関する基準
8 「犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに」
<修正文>
「犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡し
ないこととするとともに」に変更する。
<理由>
「特別の場合を除き」と言う、例外的なケースもあり得ることを示唆する文言が入っているのだから、全体としては努力義務ではなく法的義務にするのが妥当であると思います。
<該当個所>
第6 ねこの飼養及び保管に関する基準
3「ねこの所有者は、(略)繁殖制限の措置を講じること」
<修正文>
以下の文章を追加する。「また、繁殖期特有の鳴き声等により、周辺に迷惑を及ぼすことがないように努めることとする。」
<理由>
繁殖期特有の泣き声は周辺に響き渡り、近隣トラブルの原因になっている場合があるので、条文において謡っていただきたいと考えました。
<該当個所>
5 「ねこの所有者は、子ねこの譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに」
<修正文>
「ねこの所有者は、子ねこの譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲
渡しないこととするとともに」に変更する。
<理由>
「特別の場合を除き」と言う、例外的なケースもあり得ることを示唆する文言が入っているのだから、全体としては努力義務ではなく法的義務にするのが妥当であると思います。
〈政省令等の名称〉展示動物の飼養及び保管に関する基準の改定
<該当個所>
第4 個別基準
2 販売
(2)「みだりに繁殖させることによる過度の負担を避け、その繁殖の回数を適
切なものとすること。」
<修正文>
「みだりに繁殖させることによる過度の負担を避け、繁殖の回数は、年一回を超えないこととすること。」に代える。
<理由>
営利事業として行う以上、現実にはどうしても過剰な繁殖に走ってしまい、結果的に動物に過度の負担を強いてしまうケースも多々あると思いますので、具体的な数値基準を定める方が良いと考えました。
〈政省令等の名称〉
犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置要領の改定
<該当個所>
第1 犬及びねこの引取り
1 都道府県知事等(略)は、犬又はねこを引き取るべき場所、日時及び費用の指定に当たっては、「住民の便宜を考慮するよう努める」(略)
<修正文>
「引き取るべき日時及び費用の指定に当たっては、「住民の便宜を考慮するよう努めるとともに」を削除する。「引き取り依頼者に、引取りの理由、当該動物の入手元の聴取を行い、動物取扱業者からの入手である場合は、当該業者の動物取扱業者に関する登録番号の確認を行うとともに、その番号を記録する。また、動物取扱業者による引取り依頼の場合は、当該業者による動物取扱業に関する登録義務違反の有無を確認する。これらの内容は記録簿を作成し、検索容易なシステムを構築する。また、請求があれば何人にも記録簿を開示すること。」を追加する。
<理由>
本来ならば終生にわたって適正飼養をすることが飼い主の義務であり、行政側の
過剰なサービスは安易な引き取り依頼を増加させてしまうと言う懸念があります。
また、特定の飼い主の飼養放棄により、殺処分であれ里親探しであれ、コストが
発生し、それには税金が使われています。ですから、飼養放棄防止策を検討する
ためにもデータを作成して検証する必要があると思います。
<該当個所>
第1 犬及びねこの引取り
3 都道府県知事等は、(略)犬又はねこが明らかに遺失物法(明治32年法律第87号)第12条に規定する逸走の家畜に当たると認められる場合には、拾得場所を管轄する警察署長に「差し出すように当該犬又はねこの引取りを求めた者に教示すること。」
<修正文>
「差し出す」以下を
「警察署長に届け出るように当該犬又はねこの引取りを求めた者に教示するとともに、届出のあった警察署は、前もってそれらの犬又はねこの一時収容が可能な場所や、一時預けかりが可能な人員を確保しておくように努めるものする。」に修正する。
<理由>
犬やねこを差し出された警察署では一時保護ができないため、保健所等に引取を依頼することが多い。飼い主が無事に連れ帰る便宜を図るために、管轄の警察の近くに一時保護できる施設を前もって定めておくなどの措置が必要です。遺失物法では半年保管しなければならないが、現実的には不可能で、その日の内に保
健所で処分を依頼するところもあります。また一時保管して下さる警察署もありますが、職員への負担が過大です。統廃合された官公の建物の利用(ex廃校)もぜひ考慮に入れてください。
<該当個所>
第1 犬及びねこの引取り 4
4 (略)引き取り事由並びに特徴(種類・・略)を所要の原簿に記入すること
<修正文>
引き取り事由、「その犬ねこの出自」を追加し、「所要の原簿に記入する」を「・・記入し、電子記録に残すこと」に修正する。
<理由>
現在はセンターや保健所などでも新たな飼い主を捜す活動が盛んに行われてきていますが、中には再び保健所に持ち込まれる犬ねこが居ますので、経過を知る必要があります。電子記録に記入し、何人でも即座に確認することが可能であれば、市民団体との連携も早くなり、飼い主が見つかる可能性が高くなります。
<該当個所>
4 (略)この場合において、所有者が判明していないときは、都道府県知事等は、拾得場所を管轄する市町村の長に対し、当該原簿に記入した事項を通知し、「狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第8項の規定に準ずる措置をとるよう協力を求めること。」
<修正文>
「狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第8項の規定に準ずる措置をとるよう協力を求めること。」を削除し、「可能な限り飼い主の発見に努めるものとすること」にする。
<理由>
飼い主不明の犬ねこは、狂犬病予防法の当該規定に準じて捕獲犬の場合と同様に2日間の公示を行う(3日目には処分する)ように規定されています。しかし、この期間が短すぎるために、飼い主が関係機関に問い合わせたときはすでに殺処分されていた後だったということが頻繁に発生しています。このような短い
期間の設定は、保管の3~7のできる限り生存の機会を与え、新たな飼い主を見つけるよう務めるという条文とまったく整合していません。収容期間は出来れば2週間、最低でも10日以上に延長するべきです。もちろんそれに併せて行政の保管施設の改善が必要不可欠です。
<該当個所>
第3 保管 1
都道府県知事等は、犬若しくはねこを引き取り、又は疾病にかかり、若しくは負傷した動物を収容したときは、その健康及び安全の保持等を図る観点から、「適正な構造等の施設(以下「施設」という。)及び方法によって」飼養及び保管すること。
<修正文>
「適正な構造等の施設(以下「施設」という。)及び方法によって」を以下に改める。
「適切な給餌給水、疾病や負傷の手当を含む衛生管理、飼育管理及び適正な構造等の施設(以下「施設」という。)及び方法によって」飼養及び保管すること。
<理由>
既存の施設の大半は殺処分を前提としているためか不衛生で通風が悪く、パルボなどの感染症が蔓延しています。フードも地面にばら撒かれ、大きなゴキブリが這っているのを目にしたこともあります。そのため、飼い主に戻されるときには病気に感染していることもあります。また、3~7に記されている新たな飼い主への譲渡のためには、その前提として行政の施設の衛生管理等が不可欠と考えます。また施設内での犬同士の殺傷、交尾などもあり、雌と雄、大型犬と小型犬は分けて保管するのが適切な飼育管理と思います。
<該当個所>
第3 保管 2
都道府県知事は、施設に保管する犬、ねこ等の動物(以下「保管動物」という)
のうち、所有者がいると認められる保管動物については公報、インターネット等
による情報の提供を行うなどにより・・(略)
<修正文>
「のうち、所有者がいると認められる保管動物については」を削除し「都道府県知事は、施設に保管する犬、ねこ等の動物(以下「保管動物」という)については、公報、インターネット等による情報の提供を行うなどにより」と修正する。
<理由>
所有者の有無は発見時の外観から判断不可能の場合が多いと思います。長期間放浪した場合に面影もなくなる場合に変貌することも大いにあり得ます。包括的な情報が公開されるべきだと考えます。またこれらが新たな飼い主を見つける手段に繋がります。殺処分を極力減らしてコストを削減するためには、そのような取り組みが大切かと思います。
<該当個所>
第3 保管 6
「施設における保管の期間は、できる限り保管動物の所有者、飼養することを希望する者等の便宜を考慮して定めること」以下に追加する
<修正文>
「施設における保管の期間は、できる限り保管動物の所有者、飼養することを希望する者等の便宜を考慮して定めるとともに、収容動物の日常的な世話については動物愛護推進員、動物の愛護を目的とする団体等や住民などの協力を考慮し、それら協力を広報などで募るよう努めること。」
<理由>
一定の長期飼育ができるように行政の施設を改善し、また民間ボランティアの協力による散歩などの日常的な世話やブラッシングなどにより、動物が人馴れをし、健康になる等、譲渡の可能性が高くなると思います。
<該当個所>
第4 処 分
保管動物の処分は、所有者への返還、飼養することを希望する者「又は動物を教育、試験研究若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者」への譲渡及び殺処分とする。
<修正文>
「又は動物を教育、試験研究若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者」内を削除し、以下を追加する。「殺処分の場合は、可能な限り動物に心身の苦痛を与えない方法で行うようにすること。」
<理由>
全国の自治体で行政による犬猫の実験払い下げは平成17年度末でゼロになり、今後実験譲渡が復活する可能性もあり得ないと聞いておりますので、無用の文章は削除すべきだと考えます。また、多くの自治体で使用しているガス処分機は、「安楽死」とは言えず国際基準にも合致していません。行政内部でも問題視している方が多いようです。出来る限り複数の薬剤の注射による処分に転換する必要があります。
以 上