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サウナ

大阪で個室サウナは開業できる?

 無人店舗が様々な業界で爆誕、市民権を得てきたようです。コロナ禍を経て「入店から退店まで人と接触することなくサービスを受けるのが安心」、(自動販売機やコンビニ等の「沈黙の経済」に慣れてきたせいか)「お店の人とあれこれやり取りするのが煩わしいから、無人店舗の方が快適」等のマインドの消費者が増えてきたことがあるんでしょう。お店にとっても(バックヤードの人はともかく)接客スタッフを雇わず店舗運営が出来たら、人手不足も解消するし、賃金や社会保険料等も節約出来るし、労務トラブルの恐れもないし、と言うことで、こんなありがたいことはない。

 また、健康志向がますます高まり、健康に良いとされるサウナが空前のブームのようです。

 そうなると、「無人サウナ」と言うビジネススタイルを考える人が出てくるのも当然の流れと言えるでしょう。事実、他府県では既に登場しているらしいです。(←注※あくまでネットの知識)

 「人様に己が醜悪な裸体(←言い過ぎかも)を見られたくない!」とか、「閉鎖的な空間で、視界の中に怪しい人がいたら怖い!」とか、「怖いとまではいかなくても、近くに圧の強い人がいたらうっとぉしい!」とか言うことは誰しもが簡単に想像するところです。

 ですが、私のように店内にお店の人が当たり前~にいる時代に育ってきた人間には、お店の人も他の利用者もいない空間と言うのはやっぱり不安。特にサウナのように「剥き身」で過ごす場所に管理者がいないと言うことは、断じて許容出来ない!(えらそう)

 「無人空間に不審者が侵入してきたらどうする!」「誰も見てないのを良いことに、施設を汚しまくる不届き者がいたらどうする!」「気分が悪くなって白目を剥いて気絶してるのに、気づかれないままだったらどうする!」等々の疑問が次々と沸き起こってくるからです。(他の人がいても限界はあるんでしょうけど・・・。)

 「無人サウナ」・・・そんなものが日の目を見た日には、絶望的やわーと思っていたところ(行かなければ済む話ではありますが・・・)、ふとしたことで、大阪府の現在の見解も私のそれと一致していたことを知り、安堵のため息をついたのでした。

 現在の大阪府内において、個室サウナがNGであるのは何故か?

 公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)に、以下の条文があります。

 第四条 営業者は伝染性の疾病にかかつている者と認められる者に対しては、その入浴を拒まなければならない。但し、省令の定めるところにより、療養のために利用される公衆浴場で、都道府県知事の許可を受けたものについては、この限りでない。

 第五条 入浴者は、公衆浴場において、浴内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼす虞のある行為をしてはならない。
 2 営業者又は公衆浴場の管理者は、前項の行為をする者に対して、その行為を制止しなければならない。

 無人にしてしまうと、「伝染性の疾病にかかつている者と認められる者の入浴」を拒んだり、「浴内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼす虞のある行為」を制止したりすることが難しくなるわけですね。

 それと、「体調不良者や泥酔者がサウナに入って危険な状況になった場合(たとえ非常ボタンがあったとしても)すぐに駆けつけることができない。」と言うのもNGな理由の一つであるそうです。

 無人サウナOKの自治体(←注※あくまでネットの知識)は、このあたりどんな感じなんでしょうか。興味深いところです。

歌舞伎町画像

【風俗営業1号許可】ホストクラブに立ち入り調査、ですって。

 トーヨコ等の立ちんぼ問題にもリンクしているであろうと思われる、昨今お騒がせの歌舞伎町ホストクラブ問題。

 それにしても、「立ちんぼ」ってめちゃくちゃ昭和のワードセンスですなぁ。「立ちんぼ」って言葉は、「ポン引き」とか「淫売」とか「パンパン」とか、いかがわしくレトロな言葉のうちの一つだと思うのですが、その手の言葉のうち、あるものは呼び方が変わり、あるものは死語となったのにもかかわらず、何故「立ちんぼ」と言うのだけが令和の今日も堂々と生き残っている(または、復活した?)のでしょうか。

 そもそも、立ちんぼの「ぼ」って「坊」から来てるんですよね、多分。「甘えん坊」とか「怒りん坊」とか「忘れん坊」とかの「坊」。「坊」と付くと何かちょっと「テヘペロ」みたいな可愛らしい雰囲気も漂うので、本来なら「路上売春」とでも言うべきところ、この可愛いエッセンスを数滴ふりかけて「立ちんぼ」と言ってしまうところに、この行為(路上売春)が小手先の技でもって市民権を得てしまってるような感じがして、この問題の根の深さを感じてしまいます。「立ちん坊」と言うところを縮めて「立ちんぼ」と可愛く言うことも含めて。

 ちなみに、「立ちんぼ」の元の言葉(と私が勝手に思っている)「立ちん坊」を調べてみたらば、「明治から大正のころ、道端に立っていて、通りがかりの車の後押しなどをして駄賃をもらった人。立ちんぼ」とありました。ひゃー、ほぼほぼ100年くらい前の言葉を使ってはるやん!昨今の日本語の乱れ(たとえば、「ら抜き言葉」とか「すごいおいしい」とか)を嘆いている私からすると「日本もまだ捨てたもんやないよね!」と小高い丘のてっぺんで叫びたくなるような事象ではありますが、それにしても「立ちんぼ」て。

 閑話休題。歌舞伎町のホストクラブですが、現在、どんな問題が出来してて、その問題に対してどんな風な動きが起こってきているかの詳細については、耳に酢だこが出来るほどTV等でも放映されていることですので、ここでは省略いたします。

 新聞等によりますと、今月、新宿区歌舞202店舗に警視庁保安課が一斉立ち入り捜査をしたとのことです。で、法令違反が7割超えであったとか。法令違反の内容は「料金表示義務」「従業者名簿の不記載」などだそうです。無許可のお店も見つかったとか。(ダメやん。)

 それ以外のわかりやすい違反として「照明器具を調光式のものに変えてた。」とか、この時期なので「店内の客室部分にクリスマスツリーなどの『見通しを妨げるもの』を置いてた。」とかがあったのではないかな、と想像します。また、べらぼうに高い料金の請求、その料金を払えない客への貸し付け、そして高額な借金を背負わせた客たち(未成年含む)を性風俗店に斡旋すること等が社会問題になってることから、今回は「料金に関する調査」が重点的な調査対象になったと言うことも容易に想像できます。

 それで、「料金の表示義務」についてですが、ホストクラブ等の風俗営業1号許可の許可申請の際には、メニューのコピーを提出しております。(ちなみに、そのメニューにおいて1本200万円のボトルがあっても、そのことをとやかく言われたことはありません。)

 また、風俗営業1号許可の「営業の方法」と言う書面には、「料金の表示方法」を記載する場所があります。

 お金のことが曖昧なのは後々に揉める元、と言うのはどこの世界でも言えること。商品やサービスに係る料金が明瞭でなければいけないと言うのは、誰しもが「そんなことは当たり前」と思っているでしょう。ただ、異性(または同性)を侍らせて、お酒とかオシャレな会話とか疑似恋愛?とかを楽しむ風俗営業においては、銭勘定を前面に出すのって、なんか~カッコ悪~、と言う感覚もそこはかとなくあって、事実、風俗営業許可申請の際に高級店のママさんにメニューのコピーをお願いすると、「わたしら、そんなんで育ってきてないから~。(メニューなんか無いでっ。)」て、当初やんわりと拒絶されたこともありました。  

 それで、このあたりの法的根拠は何かと言うと、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の中で、ラウンジやホストクラブ等の風俗営業者が守らなければならないこととして「(料金の表示)第十七条 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。」と言う条文があります。

 で、国家公安委員会規則において、「(料金の表示方法)第三十三条 法第十七条の規定による料金の表示は、次の各号のいずれかの方法によるものとする。

 壁、ドア、ついたてその他これらに類するものに料金表その他料金を表示した書面その他の物(以下この条において「料金表等」という。)を客に見やすいように掲げること。

 客席又は遊技設備に料金表等を客に見やすいように備えること。

 前二号に掲げるもののほか、注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと。」と定められています。

 また、同規則の次条で、「料金の種類」が定められており、ホストクラブ(風営法第二条第一項第一号の営業)の場合は、「一 遊興料金、飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金」とあります。

 つまり、飲食代金だけではなく、「客がそのお店に来て支払うお金の全て」について明らかにしておくとともに、それをわかりやすい方法で客に知らしめておかなければいけないと言うわけですよね。

 つかの間、日常を忘れて羽化登仙で遊ぶ空間なのに、日常生活と切っても切れない銭関係が露骨であることを野暮とか無粋とか下世話とか感じる精神風土があることを否定はしません(特に日本人は元々お金の話を嫌う傾向があると思う。)。

でも、法律はこうなってるので、守らないといけないのだ。

 ちなみに、ここ大阪においては、「大阪府酒類提供等営業に係る不当な勧誘及び料金の不当な取立ての防止に関する条例」と言うのがありまして、「(料金の表示)第三条 酒類提供等営業を営む者(以下「営業者」という。)は、公安委員会規則で定めるところにより、その営業所において客に見やすいように料金を表示しなければならない。」となっています。

 そして、同条例の第2条第2項で「この条例において「料金」とは、飲食に係る料金その他名目のいかんを問わず、酒類提供等営業に関し客が支払うべきものとする一切の金銭をいう。」とあるので、「うちはホストクラブじゃなくてバーだから、この縛りは関係あらへんっ。」とはなりません。

なので、やっぱり守らないといけないのだ。

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